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平成17年2月15日東京地裁判決

事案の要旨

Yは、「○△□」という名称でパンケーキ店を営んでいた者であるが、Xとの間で、Yをフランチャイザー、Xをフランチャイジーとして、YがXに対しパンケーキ店の経営に関するノウハウをXに提供し、Xは当該ノウハウに従い、「○△□」の名称で事業を行うことを約するフランチャイズ契約(以下「本件契約」という。)を締結した。XY間の本件契約は、次のような事項を含むものであった。

1.指導・援助・訓練について
YはXに対し、以下の指導、援助、訓練を行う。
(1)開店に関するすべての業務の指導,援助及び訓練
(2)設備・備品類の設置,それらの改善に関する指導援助
(3)広告宣伝に関する指導援助
(4)その他,事業運営に関する指導援助
(5)開店に関する指導援助は,開店前5日間の実地訓練への立会い(厨房及びホール担当者),開店後,最短で20日間以上(店舗の状況を判断し原告と被告が協議の上で決める)の間,本部指導員(厨房担当者)を派遣する。その後2か月,食材の品質,価格,仕入,その他のチェックを兼ねて,月に2日,その後は,断続的に,月に1日,指導員(厨房担当者又はそれに準ずる者)を派遣する。
2.加盟金について
XはYに対し、本件契約締結時に200万円、店舗開店時に100万円の合計300万円の加盟金を支払う。加盟金はいかなる理由があっても返還しない。
3.保証金
XはYに対し、本件契約時に200万円、店舗開店時に100万円の合計300万円を保証金として預託する。

なお、保証金については、本件契約締結後、XY間で、本件契約の違反があった場合を除き、本件契約が終了しても返還しないことを約する覚書を締結した。
その後、Xは、本件契約に定められた指導援助義務について、Yに債務不履行があるため、本件契約を解除したとして、既払いの加盟金300万円及び保証金250万円の支払いを求めて訴訟提起した。  

判断内容の要旨

本判決は、Yの債務不履行に基づく本件契約の解除は有効であるとして、XのYに対する保証金返還請求を認めた。
債務不履行に基づく契約解除が認められる理由に関する判決内容の要旨は、以下のとおりである。
Yは、Xの店舗開店前に、厨房担当者とホール担当者をそれぞれ1日派遣しただけであり,Xの店舗開店後においても,Yから指導員が派遣されたのは合計5日間だけであり,本件契約に規定する,Yの厨房担当者の開店前5日間の実地訓練への立会い及び開店後の最短で20日間以上の派遣のいずれも履行されていない。

解説

本判決は、契約上フランチャイザーが負う指導援助義務の内容を認定したうえで、当該義務につきフランチャイザーに債務不履行があるとして、フランチャイジーによる契約解除を認めており、フランチャイザーの指導援助義務違反に基づく責任を検討するうえで参考となる裁判例である。

 

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