フランチャイズ問題情報.com > フランチャイズ・コラム >  フランチャイズ裁判の流れ

フランチャイズ裁判の流れ

フランチャイズ契約を締結した後、様々な理由により、フランチャイズ本部と加盟店の間でトラブルが発生し、話し合いによる解決ができずに裁判となることがあります。ここでは、フランチャイズ本部が加盟店に対し未払いのロイヤリティーの支払を請求する裁判を例にとり、一般的な裁判の流れを解説します。

訴状作成と提出

フランチャイズ本部が未払いロイヤリティーの支払を求めて裁判を起こす場合、まず、訴状という書面を作成し、裁判所に提出します。
訴状には、求める支払額等を記載した「請求の趣旨」と、その具体的な理由を記載した「請求の原因」が記載されます。また、訴状とともに、フランチャイズ契約書をはじめとした証拠を裁判所に提出します。

arrow.png

訴状の送達

裁判所は、提出された訴状や添付書類をチェックした上、被告とされた加盟店に対し、それらの書類を送達します。この時点で、加盟店は自社が訴えられたことを知ることになるわけですが、慌てることなく書面の内容をよく確認し、まずは弁護士などの専門家に相談するようにするとよいでしょう。

arrow.png

答弁書の作成と提出

被告となった加盟店は、訴状に記載された内容に争いがないかを確認し、間違っている部分がある場合には自らの認識や考えを記載する答弁書という書面を作成して裁判所に提出します。
また、この中で、未払とされているロイヤリティーは既に支払済みであるとか、フランチャイズ本部からの指導援助が果たされてないのでロイヤリティーはそもそも発生しないなどの、反論を記載することもできます。

arrow.png

裁判所での主張及び証拠の整理

裁判所における審理が始まります。第1回口頭弁論では、訴状と答弁書が陳述され、その後、原告と被告の双方が、各裁判期日ごとに、自己の主張や立証を補充したり、相手の主張に対する反論を提出したりする作業を繰り返します。単純な裁判であれば、このようなやりとりが2~3回程度、複雑な裁判であると10回以上になることも珍しくありません。こうした作業を繰り返すことによって、争点が明確化されていくことになります。

arrow.png

裁判所での人証調べ(証人尋問)

前述の主張及び証拠の整理がある程度済んだ段階で、事件に関係のある人物の話を裁判所が法廷で直接聞くという人証調べの手続きが行われます。法廷で供述することになる人数は、数名程度の場合が多いですが、事件によっては10名近くの証人が呼ばれることもあります。

arrow.png

和解手続

裁判所での審理の途中で、双方が事件を話し合いによって解決する和解の手続きが行われることがあります。タイミングとしては、主張及び証拠の整理の途中である程度重要なものが出尽くした段階や、証人尋問の終了後などが多いといえるでしょう。双方当事者の希望額を前提に条件を調整する場合もありますし、裁判所が積極的に具体的な和解案を提示する場合もあります。

arrow.png

判決

和解による解決が不可能である場合には、裁判所が判決によって事件の結論を出すということになります。ロイヤリティーの支払を命ずる場合には請求認容判決、支払を全く命じない場合には請求棄却判決ということになります。

この記事を書いた弁護士

宮嶋弁護士

弁護士 宮嶋 太郎

1980年神戸市生まれ。2歳より静岡県に育つ。静岡県立韮山高校・東京大学法学部卒業。旧司法試験合格。弁護士登録後、10年以上フランチャイズ関連企業の相談や紛争処理業務にあたっている。セブンイレブン見切り販売妨害弁護団やベンチャーリンク関連弁護団等において、著名事件の代理人を務める。2012年には日本弁護士連合会消費者問題対策員会独禁法部会による米国フランチャイズ法制等調査団に参加。コンビニ・フランチャイズ問題弁護士連絡会事務局。弁護士法人ポート・虎ノ門事務所所長。

call.png