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平成14年3月28日大阪地裁判決 

事案の要旨

フランチャイズ契約の締結にあたり、フランチャイザーの提供した売上予測等に関する情報が裁量の範囲を逸脱し正確性を欠いているとして、信義則上の義務違反を肯定し、損害賠償請求が認容された事例

判断内容の要旨

「出店予定地に出店した場合の売上高や営業利益に関する情報は、フランチャイズへの加盟を検討している者にとって、フランチャイズ契約を締結するか否かの意思決定に重要な影響を与え得るものであるから、フランチャイザーは、同契約を締結しようとする者に対し、それらの点について、できる限り客観的かつ正確な情報を提供すべき信義則上の義務を負っていると解すべきである。特に本件では、前記1(1)記載のとおり、被告会社は、被告一郎との間で、同人のために店舗立地調査(なお、店舗立地の適否を判断する上で、候補店舗における売上予測は重要な考慮要素であり、店舗立地調査の中には当然市場調査等の売上予測に係る調査も含まれるものと解される。)を行うことを目的とする覚書を締結し、同人から覚書締結金五〇万円を受領していることに鑑みると、そのような覚書締結や金員の受領がない場合に比し、提供すべき情報の客観性、正確性についてはより一層高度なものが要求されるというべきである。
そして、フランチャイザーの市場調査の内容等が客観性、正確性を欠いていたり、十分な資料に基づくものではなかったりして、フランチャイザーが提供した情報が、フランチャイズへの加盟を検討している者に、同契約締結に関する判断を誤らせるおそれがある場合には、フランチャイザーは、上記信義則上の義務違反により、フランチャイジーが被った損害を賠償する責任を負うと解すべきである。」

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