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フランチャイズに関連する法令等

我が国には、現時点(2014年7月16日)において、フランチャイズ契約を直接規制する法律はありません。しかし、以下のような法令等によってフランチャイズ契約は規制されています。

1 民法

私法の一般法です。フランチャイズ契約の当事者間においても、契約や他の法律等に規定がない限りは、民法が適用されます。
典型的なフランチャイズ関連紛争である情報提供義務違反の事案では、民法に規定された信義則(1条2項)を根拠に、フランチャイザーの情報提供義務が導き出されています。

2 商法

商人及び商取引に関連する事項を規律する法律で、民法の特別法と位置づけられています。フランチャイズ契約も商人間の契約として商法の規律を受けます。

3 中小小売商業振興法(小振法)

中小小売商業者の経営の近代化を促進すること等により、中小小売商業者の振興を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする法律です。同法第11条は、「特定連鎖化事業」に加盟する中小小売商業者の保護施策として、特定連鎖化事業を行う者に対し、当該特定連鎖化事業に加盟しようとする者に加盟契約の内容等一定の事項を記載した書面の開示を義務づけています。
上記の「特定連鎖化事業」は、主としてフランチャイズチェーンを対象としていますが、連鎖化事業に該当するための要件として、「主として中小小売商業者に対し、定型的な約款による契約に基づき継続的に、商品を販売し、又は販売をあつせんし、かつ、経営に関する指導を行う事業」であることが必要であるため、フランチャイズチェーンのなかにもこれに該当しないものがあることについては注意が必要です。

4 独占禁止法

正式名称は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」です。
フランチャイズ契約との関係では、同法19条の「不公正な取引方法」の規定が主として問題となります。不公正な取引方法の具体的な内容は、公正取引委員会が定める不公正な取引方法の一般指定に規定されています。フランチャイズ本部の加盟勧誘が欺瞞的顧客誘引(一般指定第8項)に該当しないか、フランチャイズ契約上の加盟店に対する拘束が優越的地位の濫用(一般指定第14項)にあたらないかなどの点が検討されることになります。
独占禁止法に関しては、同法を所管する公正取引委員会が「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」と題するガイドラインを公表しており、フランチャイズ問題に関する独占禁止法の位置づけを検討する際に参考になります。

5 商標法・不正競争防止法

商標法は、商品やサービスについて事業上使用するマークを保護する法律で、特許庁での手続により登録されている登録商標を保護しています。
不正競争防止法は、広く不正な競争行為を防止するため、不正競争行為の差し止めや損害賠償等について規定しています。同法によって、商標法によっては保護されない、事実上使用されている未登録商標についても一定の保護が与えられます。

6 JFA自主基準

社団法人日本フランチャイズチェーン協会(JFA)は、フランチャイズ・システムの健全な発展を図ることを目的に、1972年に設立された公益法人です。同団体は、多数のフランチャイズ本部が加盟しており、フランチャイズの健全な発展のため、「倫理綱領」「自主開示基準」などの規範を自主的に定めています。法的な拘束力はないものの、諸法令解釈のための参考となります。

7 労働法

フランチャイズ契約は、フランチャイズ本部と加盟店の間の契約ですが、これは「事業者対事業者」の契約であり、「事業者対労働者」の間で締結される労働契約とは異なるとされるのが一般的です。
しかしながら、フランチャイズ契約という名称が与えられていても、加盟店オーナーが独立事業者としての実質を有さず、フランチャイズ本部に対する使用従属性が認められる場合には、労働基準法第9条所定の「労働者」に該当あるいは準ずるものとして、加盟店オーナーに対する労働法上の保護が与えられるべきとの見解も存在します。現に、欧州においては、このような考え方に基づいた裁判例も見られます。

この記事を書いた弁護士

宮嶋弁護士

弁護士 宮嶋 太郎

1980年神戸市生まれ。2歳より静岡県に育つ。静岡県立韮山高校・東京大学法学部卒業。旧司法試験合格。弁護士登録後、10年以上フランチャイズ関連企業の相談や紛争処理業務にあたっている。セブンイレブン見切り販売妨害弁護団やベンチャーリンク関連弁護団等において、著名事件の代理人を務める。2012年には日本弁護士連合会消費者問題対策員会独禁法部会による米国フランチャイズ法制等調査団に参加。コンビニ・フランチャイズ問題弁護士連絡会事務局。弁護士法人ポート・虎ノ門事務所所長。

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