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フランチャイズ加盟前相談のススメ

あなたは誰に相談して加盟本部を選びますか?

フランチャイズに加盟をする場合、複数のFC本部から資料を取り寄せ、各本部の加盟開発担当者(勧誘説明担当者)の話を聞き、これらを比較検討して最終的に加盟するFC本部を選択することが通常です。この過程において、あなたが外部専門家を活用することができれば、あなたの選択が失敗に終わる可能性を少なからず減らすことができるでしょう。

以下では、フランチャイズへの加盟を検討する際、あなたが外部専門家に相談をするべき理由を解説します。

加盟前相談の必要性

フランチャイズ契約には長所だけでなく短所もある

フランチャイズ契約は、FC本部において確立した経営ノウハウを利用して加盟者が事業を行うため、一般の独立起業の場合に比べて低リスクで事業を行うことができると考えられています。

しかし、確かにそのような一面はあるものの、フランチャイズも事業である以上リスクがゼロというわけにはいきません。また、フランチャイズ加盟店としての事業運営については、ノウハウや商標利用の対価として加盟金やロイヤリティが発生します。チェーンの統一性の維持という観点から契約に基づく様々な制約があります。これらの点は、FCによらない独自業態による起業にはないリスクであるということもできるでしょう。

リスクを適切に理解・評価することができる

フランチャイズ契約におけるリスクについては、加盟契約前の本部側からの説明においても、ある程度は言及されるかもしれません。

しかし、本部の加盟開発担当者にとっては、加盟者の獲得が自身の成果となることもあってか、やはり前向きな収益機会等の話が中心となり、デメリットやリスクの説明に力点が置かれることは多くないでしょう。また、詳しい説明があったとしても、加盟者側でその内容を適切に理解・評価できるとも限りません。

そのような場合に、フランチャイズ契約に精通した外部専門家の力は、あなたがフランチャイズについて知っておくべきリスクを適切に理解・評価するための大きな助けとなるでしょう。

相談する相手は?

フランチャイズ契約の加盟前相談をする外部専門家としては、次のような専門家が考えられます。

税理士や公認会計士

税理士や公認会計士などは、税務や会計の専門家ですので、やはり「数字」に強みがあります。チェーン本部の財務諸表の分析や、本部側から提示された売上収益予測に不自然な点がないかなど、数字にかかわる分野の相談をするには最適と思われます。法人で既に別事業を行っており、新たにフランチャイズ契約を締結しようという場合には、必ず顧問税理士や会計士には相談しておくとよいでしょう。

フランチャイズコンサルタント

フランチャイズ関係を専門的に手がける経営コンサルタントも、相談先のひとつとして考えられます。もっとも、コンサルタントと名乗っている専門家の中には、中小企業診断士などの資格保持者もいれば、あまりノウハウの裏付けのない者(単にコンサルを名乗っているだけ)もいるようですので、見極めが必要です。

弁護士

弁護士は法律の専門家ですので、フランチャイズ契約に定められた権利義務の内容を正確に理解するために役立つでしょう。フランチャイズ契約は複雑な権利義務の集合体であり、ひとたび契約を締結してしまうとその拘束から逃れるのは容易ではありません。こうした法的リスクを十分に理解するためには、弁護士への相談が必要です。

弁護士に相談する場合のポイント

あなたが弁護士に対する加盟前相談をするとして、どのような弁護士を相談相手として選ぶべきでしょうか。また、弁護士への相談費用についてはどのように考えておけばよいでしょうか。フランチャイズ契約に関する法律実務を取り扱っている立場から、これらについてのポイントを挙げておきたいと思います。

1 フランチャイズ契約の取り扱い経験

フランチャイズ契約は、通常、契約条項の数も多く、権利義務が複雑に絡み合う内容となっていますので、フランチャイズ契約を多く取り扱っている弁護士に相談するとよいでしょう。加盟を検討している本部の契約書を検討した経験があればベストです。

あまり取り扱い経験のない弁護士に相談する場合と比べ、契約書の内容を把握するのに時間も短く済みますし、それまでの実務経験を踏まえた具体的なリスクの説明を受けることができるはずです。

2 弁護士への相談費用

弁護士の報酬規定は、各法律事務所毎に独自に設定されていますので、相談費用の体系も様々です。

タイムチャージとして時間制報酬の体系をとる場合には、作業時間はチェックする契約書の分量や検討依頼事項の多寡によって変わりますが、1時間あたりの単価として数万円前後が多いようです。 また、加盟金の金額を基準としてその一定割合と定めているケースもあるようです。

当事務所では、タイムチャージ制を採らせていただく場合や、加盟前相談パッケージとして一律の金額設定をさせていただく場合がありますが、概ね、10万円~30万円程度の費用となっています(但し、フランチャイズ契約のリスク検討に留まらず、契約条項の修正などが含まれる場合などには、これを超えるケースもあります。)。

この記事を書いた弁護士

宮嶋弁護士

弁護士 宮嶋 太郎

1980年神戸市生まれ。2歳より静岡県に育つ。静岡県立韮山高校・東京大学法学部卒業。旧司法試験合格。弁護士登録後、10年以上フランチャイズ関連企業の相談や紛争処理業務にあたっている。セブンイレブン見切り販売妨害弁護団やベンチャーリンク関連弁護団等において、著名事件の代理人を務める。2012年には日本弁護士連合会消費者問題対策員会独禁法部会による米国フランチャイズ法制等調査団に参加。コンビニ・フランチャイズ問題弁護士連絡会事務局。弁護士法人ポート・虎ノ門事務所所長。

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