加盟店の競業避止義務違反に対応するために 〜フランチャイズ契約書の工夫と適切な紛争解決手続き〜
1. フランチャイズビジネスにおける競業避止義務違反とは
フランチャイズビジネスは、加盟店が本部の商標やノウハウを使用して統一的な事業を展開するビジネスモデルです。加盟店は本部からさまざまな支援を受けられる一方、契約上の義務を負うことになります。中でも重要なのが、競業避止義務です。
一般的な競業避止義務が定められている場合、加盟店は契約期間中はもちろん、契約終了後も一定期間、本部の許可なく競合する事業を行ってはなりません。ところが、この義務に違反して独自に同種の事業を始める加盟店が後を絶ちません。
本部にとって、加盟店の競業行為は看過できない問題です。せっかく築いたブランドイメージを毀損されるだけでなく、チェーンの独自ノウハウを流用された新たな競合店の出現を許すことにもなりかねません。加盟店の競業避止義務違反には、断固とした対応が求められるのです。
2. 競業避止義務違反に備えるための契約書作成のポイント
加盟店の競業避止義務違反に効果的に対応するには、その前提として適切なフランチャイズ契約書を作成しておく必要があります。契約書で競業避止義務に関する規定を明確に盛り込んでおくことで、トラブル発生時の交渉や法的手続がスムーズに進められます。ポイントは以下の3点です。
2-1. 競業避止義務の範囲を明確に定める
競業避止義務の対象となる地域、期間、業種を具体的に特定することが重要です。「契約終了後○年間は××県内で同種の事業を行ってはならない」といった形で、可能な限り明確に規定します。
また、加盟店が実質的に支配する別法人を使って独自の営業を行うなど、競業避止義務の潜脱行為を防止するための規定も盛り込んでおくとよいでしょう。
2-2. 違反した場合の損害賠償額や違約金を定める
競業避止義務に違反した場合に、加盟店が負担する損害賠償額や違約金の金額をあらかじめ定めておくことも有効です。違反の場合の金銭的負担(ペナルティ)を課すことで、加盟店に対する抑止力とします。
具体的には、「本契約に違反する競業行為を行ったときは、違約金として金○○円を支払う」といった条項を置くことが考えられます。
2-3. 差止請求ができる旨を定める
競業行為を差し止める仮処分を求める際に、契約書の規定を根拠とできるよう、差止請求権を定めておくことも重要です(明確な差止請求権の規定がなくとも、競業避止義務違反の履行請求としての営業差止請求は可能と考えられますが、権利を明示しておくことで抑止効果が生じます)。
これらを盛り込んだ契約書を用意しておくことで、競業避止義務違反が発生した場合の初動対応を、迅速かつ有利に進められます。
3. 競業避止義務違反が発生した場合の紛争解決手順
万が一、加盟店による競業避止義務違反の事実が判明した場合は、次のような手順で対応することになります。
3-1. 差止請求
競業行為の差し止めを求める方法としては、次の2つがあります。
(1)通常裁判による差止請求
訴訟を提起し、裁判所から競業行為の差止めを命じる判決を得る方法です。ただし、判決を得るまでには1年以上の時間を要することが少なくありません。
(2)仮処分手続きによる差止請求
そこで、裁判所に仮処分を申し立て、競業行為の仮の差止めを求める方法です。この手続きによれば、通常裁判に比べ、迅速に差止めを実現できる可能性があります。ただし、「現に回復困難な損害が生じている」といった保全の必要性を疎明する必要があります。
3-2. 損害賠償請求
競業避止義務違反によって本部に生じた損害の賠償を、加盟店に請求する方法です。この場合、フランチャイズ契約書に損害賠償額の予定(違約金)が定められているかどうかで、請求の立証方法が異なります。
(1)損害賠償額の予定がある場合
あらかじめ契約書で定められた金額を、実際の損害額の多寡にかかわらず請求できます。この場合の争点は、賠償額の予定が過大に過ぎないかどうかなどに絞られます。
(2)損害賠償額の予定がない場合
本部側において、競業行為によって現実に生じた損害(ロイヤリティ収入の減少など)を立証する必要があります。
4. 紛争解決に必要な証拠収集と専門知見
以上の手順を進めていく上で、鍵となるのが証拠収集と専門知見です。
加盟店の競業行為の事実を立証する証拠を集めるには、調査能力と経験が求められます。例えば、競合店の実態を明らかにする資料や、加盟店関係者のヒアリングなど、一定の調査を欠かせません。
また、集めた証拠をどのように法的な手続に活用するかといった点については、法律の専門知識が不可欠です。単に証拠を集めるだけでなく、それをどのように攻撃防御方法に結びつけていくかが重要となります。
こうした証拠収集と法的対応を同時に進められる専門家に依頼することが、紛争解決の近道と言えるでしょう。
5. 弁護士法人ポート法律事務所の実績と強み
弁護士法人ポート法律事務所は、数多くのフランチャイズ本部と加盟店の案件に取り組んできた実績があります。加盟店と本部、双方の事情を熟知しているからこそ、加盟店との紛争解決に実効性のある戦略を提案できます。特に、競業避止義務違反への対応は当事務所の得意分野です。
当事務所では事案に応じた柔軟な解決策を心がけており、訴訟などの法的手続だけでなく、示談交渉など話し合いでの解決も視野に入れています。紛争解決のために様々な角度からアプローチし、依頼者の利益を最大化することを目指しています。
6. 競業避止義務違反の懸念が生じたら早期の相談を
加盟店の競業避止義務違反は、発覚が遅れるほど対応が難しくなります。違反の事実を知った場合はもちろん、違反の懸念が生じた段階で専門家に相談することが肝要です。
初期対応によっては紛争の拡大を未然に防げることも少なくありません。仮に法的紛争に発展したとしても、情報を早期に押さえておくことで、その後の交渉や法的手続を優位に進めることができます。
フランチャイズ本部の方で、加盟店の競業避止義務違反のおそれがある場合は、一刻も早く弁護士にご相談ください。もちろん、契約書の作成や見直しのご相談も承ります。




